オススメ本・岡田尊司著『マインド・コントロール』について
- 著者 岡田尊司
- 出版社 文藝春秋
- 分類 実用書
- 出版日 2012/12
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目次
『マインド・コントロール』とはどういう本なのか?
精神科医として絶大な信頼と人気を誇る岡田尊司さんの著者。
今回はみなさんもよくご存知の『マインド・コントロール』に関する本である。
そう聞くと、「オレには関係のないこと」「私はマインド・コントロールなんかにならないから」といった具合に線を引いてしまいそうになるが、ちょっと待ってほしい。
マインド・コントロールの恐ろしいところは、そんな『まさか私が・・・』という人が陥りやすいものなのだ。
カルトにハマっていった若者たちや、世界各地でテロを仕掛けているテロリスト集団、etc・・・
彼らは間違いなく、何らかの形でマインド・コントロールをされているのは間違いない。
じゃあ、彼らは僕たちとまったく違う異質の存在なのだろうか。
「そうではない」と著者は記述している。
マインド・コントロール技術というのは僕らのすぐ近くにあるもので、それは何かのきっかけさえあれば簡単にあっという間に作動してしまうものなのだ。
しかも人の心を操る技術というのは意外と古い歴史があり、CIAなんかも多用しているものなのだ。
マインド・コントロールに陥らないためにも本書を読んで、しっかりと準備しておこう!
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著者の紹介
岡田尊司
1960年神奈川県生まれ。
精神科医、作家。
山形大学客員教授。
東京大学文学部哲学科中退、京都大学医学部卒、同大学院高次脳科学講座神経生物学教室、脳病態生理学講座精神医学教室にて研究に従事。
理学博士。
※この書籍が刊行された当時に掲載されていたもの
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自爆テロを行った若者たちに共通していたのは、彼らがテロリストになるまでに通過した『トンネル』であった。
そのトンネルを通り過ぎるうちに、普通の理性的な人間がテロリストに生まれ変わってしまうのだ。
トンネルには二つの要素がある。
外部の世界からの遮断と、視野を小さな一点に集中させるということだ。
小集団、小さなチームとの排他的な関係の中ではほとんどの時間を共に過ごし、それ以外の生活や外部からの情報の流入を可能な限りシャットアウトする。
そうすることによって、小さな集団を支配しているルールや価値観に、いつのまにか支配されるようになる。
小さな集団がトンネルの役目をして、彼らの視野を、他の選択肢などないところまで狭めていく。
トンネルの中にいる者にとっては、トンネルの中が世界のすべてとなる。
もう自分たちが狭いトンネルの中にいるとは思わなくなる。
「それが、すべてだ」と思考が単純化されていく。
これは非常に恐ろしい一文だ。
そして、それと同時にこのような「トンネル」は僕たちの日常にもたくさん転がっていると思ってしまった。
学校、会社、部活、サークル、ママ友、ご近所づきあい、etc・・・
あるいは最近流行りの投資法や、「ネトウヨ」と呼ばれている連中もそうかもしれない。
ありとあらゆるところにトンネルになり得るものが用意されているような気がする。
その小さな集団の中に属していれば安心できる。
そして、みんなの意向をくみ、みんなと同じような思考をし、みんなと同じような行動をする。
そうやって他のメンバーと同じようなことをやっていれば、何も考えずに済む。
孤独になることもない。
不安も解消できる。
だから、みんなと同じ行動をする・・・
思い当たるフシがあるのではないだろうか。
このトンネルは何も宗教やテロ集団だけの話ではないのだ。
本人の主体性を奪い、操り人形やロボットに仕立てあげようと思えば、常に情報過剰な状態に置き、脳がそれらの情報処理で手いっぱいになり、何も自分では考えられない状態にしてしまえばいいということになる。
実際、洗脳にはそうした方法も常套的に用いられる。
絶えず音楽や録音テープがかかった部屋におかれ、早朝から夜遅くまで絶えず話を聞かされる。
しかも、苦痛や不安を高め、絶えず気がかりな状態におくことで脳を疲れさせ、集中力を奪う。
疲労困憊して処理能力が低下しているところに容赦なく大量の情報を注ぎ込み続けるのだ。
脳はオーバーフローの状態になり、主体的に情報を取捨選択することができなくなり、考える力も抵抗する力も失っていく。
子どもは今、洪水のような情報に取り巻かれ、それに溺れた状態で育つ。
子どもたちの主体性や創造性や考える力が低下しているとしたら、そうした環境の影響も否定しがたいだろう。
子どもをゾンビ化するには、過剰な情報にさらし続け、自分で考える暇も与えず、常に何かをやらせる最善の環境だからだ。
よく「日本の子供は目が死んでる」と言われる。
それに対して、どんなに貧しくして発展途上国の子供たちの目には生命力が宿り、キラキラしているとも言われる。
そこに高度に進みすぎた情報化社会がどれだけ影響を及ぼしているのだろう。
少なくとも先進国の子どもたちよりも発展途上国の貧しい言葉たちの方が浴びてる情報の量は圧倒的に少ないだろう。
自分でものを考えたりしなくなると、人間の目はだんだん死んだような目になってゆくのかもしれない。
ここで著者が『ゾンビ』というワードを出したのにも注目したい。
ゾンビの生みの親、ジョージ・A・ロメロ監督は意味もなくショッピング・モールにゾロゾロ集まる人間たちを見て、ゾンビというコンセプトの着想を得た。
モールに行けば何も考える必要がない。
そこに行けば何でも揃う。
みんなと同じ行動をしていれば、孤独感も味わうこともない・・・
こうやって人間は死んだような目になってゆくのだ。
情報化社会のいちばん恐ろしいことはこれである。
朝から晩まで大量の情報のシャワーを浴びるものだから、脳の処理能力がそれに追いつかなくなる。
しだいに疲れ果て、ものを考えることもめんどうになってしまう。
だから、大きな声でみんなを先導するような指導者がそこに現れたら、誰もそれに疑問を抱かず、付き従ってしまう・・・・これはいつの世も繰り返されてきたことではないか!
「それは洗脳されるという問題ではなく、私が欲求したからこそオウムに巻き込まれるようになったのです」
これはオウム真理教から脱会したある元女性信徒がインタビューで語った言葉だ。
マインド・コントロールの問題を考えるときに常に忘れてはならないのは、それはコントロールする者からの一方的な操作や支配ではないということだ。
コントロールされてしまうのは、それを求めてる気持ちをもつからでもある。
強い確たる存在に同一化したいという願望がマインド・コントロールを生むのである。
したがって、マインド・コントロールを解くということはマインド・コントロールする側の非や不正を暴くだけでは不十分だということだ。
自分よりも強力な存在に依存したい、そうすることでしか自分を支えられないという気持ちをどうにかしない限り、その試みは失敗に終わる。
これもなかなかショッキングな一文だと思う。
マインド・コントロールというと、ついつい僕たちは『マインド・コントロールをする側』の方にまで意識を向けてしまう。
そして、その加害者の方ばかりを過剰にクローズ・アップし、そこを分析すれば問題の本質にたどり着けると錯覚してしまいがちになる。
だけど、それは違う。
結局のところ、マインド・コントロールという「コントロールする側」と「コントロールされる側」の両方にもスポットライトを当てなければならない問題なのだ。
『それに引き寄せられていった側』のこともきちんと分析しなければならない。
そして、そこには実は自らマインド・コントロールを求めていた側面というのが浮かび上がってくるのだ。
マインド・コントロールという言葉が我が国で話題になったのはオウム真理教の事件が起き、その実態が明るみに出た頃のことである。
当時は流行語になるくらい、この言葉が頻繁に飛び交った。
今から思えばまだ当時の日本は世界第2位のGDPと多額の貿易黒字を誇る、押しも押されぬ経済大国であった。
バブルの余韻さえ色濃く残っていた。
ご存じのとおり、それから十数年のあいだに日本は凋落を続け、状況は一変することになる。
そして中国にGDPで世界第2位の地位を明け渡したというニュースが伝えられた直後、わが国を襲ったのが東日本大震災と福島の原発事故だった。
内憂外患の国難の只中にあっては、一芸能人の身に起きたことはおろか、市民一人一人の心理状態など顧みるゆとりさえなくなる。
国が亡びはじめたと、誰もが浮き足立ち、飛び交う情報に知らずしらず振り回されていく。
全か無かの単純化された思考に陥り、ヒステリックな過剰反応に走る。
冷静で控えめなものよりも、確信をもって希望を約束してくれる存在にすがろうとする。
大きなスケールでマインド・コントロールが起きるのは、大部分の人々が未来に対して希望を失ったときなのである。
全体主義の亡霊が人々の心をとらえ、排除と戦争へと暴走させるのは多くの人々が自分の頭で考える余裕をなくし、受動的な受け売りを自分の意思だと勘違いするようになったときである。
そのとき同時に見られる兆候は白か黒かの決着をつけようとする潔癖性である。
外からもたらされる情報や空気を鵜呑みにするのではなく、自分の頭で考え、体験のみならず過去の歴史に照らし合わせて判断し、冷静さを忘れずに行動することはできるのか。
こうした状況だからこそ、その問いはいっそう重要性を帯びているように思える。
これも非常に的を得た素晴らしい文章である。
現代社会の問題すべてを的確に言い表しているように思える。
要するに、現代社会はますますマインド・コントロールに陥りやすい世の中になりつつあるということだ。
なぜなら、多くの人が不安を抱え、未来に対して希望を抱きづらくなっているからだ。
こういう時には注意をしなければならないと著者は語っている。
それは過去に何度も繰り返されてきたことなのだ。
歴史が動き、時代が移ろう過程の中で何度も手を替え品を替え、マインド・コントロールは立ち現れてきた。
それらの事柄の根底には同じものが流れている。
そして、それは遠い過去の話ではないのだ。
今の我々の日常の中にもたくさん転がっている話なのだ!
ぜひみなさんも読んでみてください!
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