【自分のキャパシティを超える危険性】なぜ身の丈以上のことをやる人が失敗するのか
世の中には星の数ほどの商売があります。
その中で、僕は『不動産投資』という商売をやっています。
商売というものをやっている以上、どうしても「儲け」を考えます。
慈善事業をやっているわけではないのですからそれは当たり前のことです。
だけど、あまりにも過剰に儲けを重要視しすぎることはかえって危険なこともあります。
商売に長けている人はその辺のことをよく理解しています。
僕の知ってる大成功している大家さんもある程度の数の物件を保有したら、そこから先はもうあまりむやみに増やそうとはしません。
どんなに金融機関が「融資しますから」と言っても、どんなに不動産会社の人が「いい物件があります」と言っても、テコでも動きません。
商売人というのは、どこまでいっても儲けを重視するはず。それなのに、どうして上手な商売人の人は、話に乗ろうとしないのでしょうか。
自分のキャパを超えた範囲のものにまで手を伸ばすことの危険性
会社を大きくしたり、店を増やしたり、物件を増やしたりといった拡大路線をとっているとどうしてもいろいろな問題というのが出てきます。
小さな規模でやっていた頃には絶対に起こりえなかったトラブルに見舞われることもあります。
たとえば人をいっぱい雇うようになればそれだけで大変です。
相手はロボットではありません。
人間です。
ですから、雇い主のいうことに100%従うということは基本的にはありません。
こちらが期待したとおりに動いてくれないことや勝手に解釈して勝手に事を進めてしまうこともあります。
お店を増やすということはそれだけスタッフの数も増えるということなのです。
スタッフへ支払う人件費だけでも相当なものです。
さらに、お店の秩序やモラルをキープするだけでも大変な労力が必要です。
よっぽど優秀なマネージャーとか店長とかがいれば話は別ですが、そのマネージャーなり、店長なりを立派に成長させるまでが至難の業です。
いろいろと気苦労は耐えません。
そこまでしてお店を増やして何かいいことがあるでしょうか。
ハッピーでしょうか。
確かにお店の数が3軒よりは30軒の方が売上も高いでしょう。
だけど、それだけ気苦労も10倍になると考えた方がいいでしょう。
数が増えたことによって1軒1軒にかける愛情が分散されてしまうかもしれません。
細部に目が届かなくなり、きめ細かな対応もできなくなります。
そうなるとサービスの低下につながります。
サービスの低下は悪い評判を呼びます。
悪い評判はめぐりめぐってお客さんの数の減少につながります。
お客さんの数が減少すればそれだけ売上は下がります。
売上が下がれば、利益も下がります。
人間にはキャパシティーというものがあります。
自分のキャパを超える範囲のものにまで手を伸ばしてしまうことは危険なのです。
「もっと儲けたい!」というガメツさが自分のクビをしめることにもなりかねないのです。
いちばん大切なことは売上高ではなく経常利益
僕はたった3軒しかなくても、「その3店舗が3店舗とも大変繁盛している」という状態がベストだと思っています。
大切なことは数ではありません。
規模ではありません。
中身です!
商売のことを知らない人は、「なんだ、たった3店舗しか展開してないんだ…」というようなことを平気で言います。
3軒しか持っていない経営者より30軒ものお店を持っているオーナーの方が偉く見えたりします。
だけど本当に商売を知っている人はそういった外側の部分はみません。
決算書でいえば「経済利益」のところを見ます。
売上なんていくらでも膨らませることはできます。
ガンガン拡大路線でいけばいいんです。
だけどそうやって膨らませていけば、借金も増えるし、経費も増えます。
いろいろなトラブルも増えるし、ストレスも増えます。
商売は『売上が高い = 儲かっている』ではないのです。
本当に儲かっているというのは経常利益のところを見なければいけません。
その経常利益がマイナスなのに、「オレは手広くやってるんだ」とふんぞり返られても困ってしまいます。
だけど、夜の飲み屋街などに行けばそんな風にふんぞり返っている経営者がたくさんいます。
経常利益はマイナスなのにかかわらず・・
そんなに大きくしなくたって1つ1つのお店が儲かっていればそれでいいはずなのです。
借金もする必要もないし、人を雇う必要もない。
経費もそんなにかからないし。
それこそが「商売がうまくいっている」という状態なのです。
商売をやっていていちばん大切なことは経常利益なのであって、売上高とか従業員の数ではない。
商売をわかっている人はそのことをよく知っています。
銀行の人もそのことをよく知っています。
だけど、世間の多くの人はそういうことを知りません。
それよりもコマーシャルでよく見かけるとか、店舗の数だとか、スタッフの人数だとか、経営者の知名度だとか、といったようなものを気にします。
「年商○○億円」と聞けば、それだけで「スゲー!」という話になります。
「全国に100店舗」と聞けば、それだけで「スゲー!」という話になります。
僕は知っています。
そんな風にして拡大路線をとっているのに毎年、マイナスの経常利益をどんどん垂れ流し続けている会社がゴマンとあることを・・
僕はゆったり、のんびり生きるために不動産投資をはじめた
ここから先は個人的な幸福観のようなものなっていってしまうので、一般的に当てはまるかどうかはわかりません。
僕は5棟のアパートを所有していますが、今のところこれ以上物件の数を増やすつもりはありません。
やろうと思えば、もっと増やすことはできます。
だけど、やりません。
5棟なんて、不動投資の世界では大した規模ではありません。
やっている大家さんはもっとたくさん物件を所有しています。
20棟とか、30棟も持っている大家さんもたくさんいます。
また銀行借入額も20億も、30億といった規模の大家さんもたくさんいます。
確かにそれだけのスケールになってくれば、「見える景色」というのも違うんだろうなぁとは思います。
そのくらいになれば不動産業界ではちょっとした有名人なはずだし、その街の営業マンは誰しもが知ってる存在でしょう。
しかし、僕はあまりそういった存在には憧れません。
そんなふうにして大きなスケールで生きることが僕の場合、性に合っていないのです。
「貧乏性」と言われるかもしれません。
でも、僕は会社の規模を大きくしたり、物件の数を際限なく増やしつづけるようなことはしたくありません。
それはとても危険なことだと思っています。
人間の欲望には際限がありません。
どこかで線を引かなければすぐに「もっと、もっと!」となっていってしまうものなのです。
どこかで線を引かなければ・・
僕はその欲望をコントロールできずに破滅していった人を何人も見てきました。
僕自身も若い頃はその欲望のせいで地獄を垣間見た経験もあります。
だから僕は欲望の恐ろしさを誰よりも知っているのです。
もう二度と同じ過ちをくり返したくありません。
僕は物件が20棟も、30棟も所有していたりなんかしたらとてもじゃないけど心配で夜も眠れません(笑)
それは僕のキャパを完全に超えた規模です。
どんなに大金持ちになれたとしてもそんなハラハラした人生なんて真っ平ごめんです。
僕はもっとゆったり、のんびり生きたいのです。
そのゆったり、のんびりを実現するために僕は不動産投資をはじめたのです。
大金持ちになって繁華街で豪遊したり、スポーツカーをのりまわしたりするためにやりはじめたわけではないのです。
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