[オススメ映画]『ソナチネ』(1993)

      2018/04/06

映画『ソナチネ』を観た僕の感想(レビュー)

今、この文章を書いているのは2018年2月21日。

僕の大好きな俳優が大杉漣さんが急性心不全のため66歳の若さで亡くなってしまった・・・

 

その追悼の意味も込めて、今回は僕の大好きな北野武監督の映画『ソナチネ』を取り上げたいと思う。

大杉漣さんといえば、何と言っても北野作品だろう。

 

なぜ北野監督はオーディションに遅刻し、いちばん最後に会場に駆けつけた大杉漣さんをわずか1秒で『ソナチネ』の最重要人物に抜擢することにしたのだろう?

 

しかもその段階で役者をやめてサラリーマンになろうと思っていた大杉さんを北野監督はなぜ「もうちょっと出て欲しい・・・」と懇願したのだろう?

 

 

北野監督と大杉漣さんとのさまざまなエピソードは、どれもこれも興味深いものばかりだ。

 

もちろん北野武というのが大杉漣という俳優の素晴らしさを「誰よりも見抜いていたから」というのが最大の理由だと思う。

しかし、それだけではないのではないだろうか?

 

それは大杉漣さんの出世作であるこの『ソナチネ』を観ればわかる。

 

ソナチネ』という映画は本当に不思議な映画である。

こういう映画が1993年に作られたこと自体が「ほとんど奇跡」と言っていいかもしれない。

 

そして(これもほとんど伝説と化してる話だけど)、この『ソナチネ』という映画は日本でまったくヒットしなかった。

僕の記憶が確かならば、当時評論家のあいだでもボロクソ言われていた。

 

僕は当時、大学生だった。

ソナチネ』は僕の暮らす北海道の地方都市の映画館でも上映されていた(今にして思えば、それ自体がほとんど奇跡なのだが・・・)。

 

お客さんは大学生の僕と、ヤクザ風のおじさんの二人だけだった・・・

後にも先にも広い映画館で観客がわずか二人っきりというシチュエーションは体験したことがない。

 

それは僕の記憶に強烈な印象を残した。

 

そしてもう一つ僕に強烈な印象を残したのが、当時42歳という年齢だった『大杉漣』というおじさんだった。

どこからどう見てもヤクザにしか見えなかった。

 

ホンモノを連れてきてカメラの前に立たせたのではないだろうか?と思ったくらいだ。

それまでそういう役者をスクリーンで目にしたことはなかった。

 

それこそ高倉健や仁義なき戦いやVシネマで観てきたような、いわゆる日本的ヤクザの雛形みたいなものから『ソナチネ』の大杉漣さんは逸脱していた。

いや、『ソナチネ』という映画自体がそれまでのヤクザ映画とは一線を画するものだった。

 

静かで、クールで、それでいてめちゃくちゃバイオレントでアーティスティック・・・

ソナチネ』のそういった特殊性は日本では受け入れられなかったが、ご存知の通り、この作品は海外で高く評価された。

 

あのクエンティン・タランティーノも絶賛したことで有名だ。

 

ソナチネ』が海外で高く評価され、北野監督が「世界のキタノ」となってゆくのを僕は複雑な想いで見ていた。

それと同時にあの広い映画館でヤクザ風のおじさんと二人っきりで『ソナチネ』を観たときの記憶が何度もよみがえってきた。

 

これからこの作品をご覧になる人はきっと「なんだ、こりゃ!」という印象を持つはずだ。

しかし、その「なんだ、こりゃ!」が北野作品の最も重要なキモの部分だと僕は思っている。

 

アウトレイジ』シリーズは映画としては非常によくできていると思う。

誰が見ても「おもしろい!」と手を叩いて喜べるエンターテインメント作品に仕上がっていると思う。

 

それに対してこの『ソナチネ』は、同じヤクザ映画であるにも関わらず『アウトレイジ』のようなエンタメ性は一切ない。

きっと「なんだ、こりゃ!」という感想を持つ人も多いだろう。

 

一応ストーリーのようなものはある。

あるにはあるのだが、そういうストーリー性はこういう映画にはあまりに重要なことではない。

 

とにかく観る人の脳裏に『強烈な印象』を残すこと。

「なんだ、こりゃ!」と同時に、「すごいものを観ちゃった!」という強烈な印象を残すこと!

 

おそらく北野監督はその一点に向かってこの映画をつくりあげたのではないだろうか?

 

他と同じようなものをつくっても意味がない

オレはオレにしかできないものを作るんだ!

 

____『ソナチネ』にはそのような北野監督の想いが随所に散りばめられている。

 

そして結果的にはその北野映画の強烈な個性は世界で受け入れられ、北野監督は「世界のキタノ」になってゆく。

その世界のキタノになる最大の功労者が僕は大杉漣という役者だったと思う。

 

もしも大杉漣さんがオーディション会場に現れなかったら。

もしも北野監督が大杉さんを発見しなかったら。

もしも大杉さんが『ソナチネ』において強烈な存在感を発揮しなかったら。

 

いったいどうなっていたであろうか・・・?

いったい『ソナチネ』という映画はどうなっていただろうか?

いったい北野映画はどうなっていただろうか?

 

僕は北野監督と大杉漣さんは『出会うべくして出会った』のだと思う。

運命の歯車が二人を引き合わせたのだ。

 

時々、世の中にはそういう不思議なことが奇跡が起こる。

その奇跡がどういうものなのか?

 

____それはこの『ソナチネ』という強烈な映画を観ればわかる!

 

久石譲のテーマ・ソングも最高にカッコいいぞ!!

 

 

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映画『ソナチネ』を観た人の感想

 

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